みなさんこんばんは、のうコメ異常に面白かったですね。今日はショコラ役の佐土原かおりさんが実際双極性障害なのか私が聞き取り調査をして調べた話ではなく稲垣隆行という人の話を書いておこうと思います。
はじめに: 僕は稲垣さんの大ファンなので以下の文章は全く中立ではありません
ジュエルペット サンシャイン、ロザリオとヴァンパイア、のうコメなどといった稲垣さんの作品が個性的かつ(特に演出面において)秀逸なアニメであると考える人はそれなりに多くいると思います。
ここでこの稲垣隆行という人が自分で絵コンテをやった回について考えてみます。
例えばのうコメの 1 話に美少女が空から落ちてくるというシーンがあるのですが
落ちてくる時
着地後
向きが違います。このあたりこの人の特徴を端的に表していると思うのですが、詰めが甘いというかいい加減なところがあります。一枚絵として捉えれば個性的だったりするのですが、動くと破綻していたり大して面白くなかったり、ようするに、そこまで出来る人というわけではないです。
直近ののうコメでも稲垣さんが自分でやった回より森脇真琴がやった 3 話と 8 話、撮影出の所俊克の 5 話、福田道生の 9 話などが評判がよく、福田道生の直後に来てしまった稲垣さんの最終話などは相対的に評判が低かった気がします。
ここで終わらせてしまうとつまらないってわけでもないけどそこまででもない微妙な演出家がいましたねで終わってしまうんですが。この人の真の実力はそういうところにあるわけではないという話をファンとして書いておきたいわけです。
のうコメなのですが、美術監督は阿部行夫という人でここ最近では杉井ギサブローと組んで「あらしのよるに」「グスコーブドリの伝記」などを担当してきたという人物です。あらしのよるにやグスコーブドリの伝記を見たことがある人であれば美術の傾向など全くのうコメとは違うということが分かるかと思います。
つまり稲垣隆行は少なくとものうコメにおいて美術に対して猛烈に干渉していることが伺えます。しかしその美術が結果としてあらしのよるにに勝っているかというとべつにまたこれもそうではないわけです。
またジュエルペット サンシャインでも見られましたが BGM のセレクトも極めて個性的で、「こんな曲わざわざ作るのか」というようなところまで緻密に作るというような傾向があります。かといって BGM にしたところで(名曲をギャグとして引用していたシーンはともかくとして)、さほど品質が高いというわけではないと思います。
個別の要素要素に置いて水準以上の腕を持ちながら、しかし何一つとして一流ではなく、その上で自らの作家性を注ぎこもうとする、それが稲垣隆行という人なわけです。
結果として、強烈な世界観が生まれます。その強烈な世界観の中では多少脚本家が下手だろうが、頭がとてもおかしかろうが自然と視聴者に受け入れられるシナリオが完成します。森脇真琴、福田道生などといった監督クラスの演出家であっても、自分で監督した作品の時よりも数段高い実力が引き出されます。
強烈な作家性というのはこういうものこそを指すのだと僕は思います。
まとめ