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ガールズ&パンツァーと技術

前おき: なんで今さらこんなもん書いてんだという突っ込みは勘弁してください。

私はミリタリーマニアです。最近は戦闘機の FCS のプログラミングモデルについて興味があり、限られた資料から実際どういう風に開発が行なわれているかなどを学んでいます。

普段いくつかの仕事をしていて、収入のかなりの部分を Linux 上で動く Web アプリケーション開発から得ている身としては、商用 RTOS 上で動くミッションクリティカルな(まさにクリティカルです)システムの開発手法や文化の違いには驚かされることが多くあります。

また 2 歳のころからアニメばかり見ること二十数余年、あまり常識の無い人間としても育ってきました。

そんな私がガールズ&パンツァーを見るのは当然のことだったと言えます。そしてあのアニメを見て以来延々ともやもやしていることがあるので書いておきます。

ガールズ&パンツァーに限った話ではないのですが、この手の作品って技術に対して敬意というのがなさすぎるんじゃないかというのを非常に強く思ったんです。

ガールズ&パンツァー、戦車を修理して操縦出来るようになるまでがあっさり片付けられます。戦車を修理する技術を得るのも、戦車を操縦する技術を得るのも実際大変なことで、その技術を得るまでの課程にはドラマがあってしかるべきです。具体的にアニメが 4 話から 6 話はそれで作れると思います。あのアニメにおいてはそういった技術が「無料」であるかのように描かれていて、当時それが非常に納得出来ませんでした。こんな脚本を「アリ」と見做す監督が指揮する現場は絶対に地獄であろうと思いました。そしたら実際制作遅延したのでざまあみやがれと思った。

なんで今さらこんな話を書こうかと思ったかというと、アルペジオがあるからです。あれも本当に糞だと思っています。「メカにこだわった」ということを制作サイドは散々言っていますが、 1 話冒頭からして全く駄目です。「艦対地ミサイルがヘルファイアミサイルのような形をしている」「ミサイルが低空侵入している描写がない」「それにも関わらず人類側が迎撃に苦労する(霧の艦隊の ECM が強力という設定でも地上のレーダーサイトはいくらなんでも使えるはず)」「巡航ミサイルに対する迎撃の対空システムがミサイル防衛システムという名前になっている」「敵艦が艦砲射撃主体の近接攻撃をしてくることが分かっているのに装甲されていない艦艇」というのが開始 3 分以内に発生します。

結局のところ「メカが好き」と言っている人達、これまで人類が積み重ねてきた技術体系には興味がなくて、ゴテゴテしてる見た目が好きなだけなんだろうなと思ったわけです。

同じようなことを星を創る者たちを読んだ時にも思って、この小説は非常に技術への敬意がある小説なのですが、前半部はさすがに古さがあります。第一章は月にトンネルを掘る話なのですが、掘削機械を使って作ったトンネルに「支保工」を立てるとあります。セグメントを使ってどんどんトンネルを作っていくとか、コンクリーートを吹き付けロックボルトを打ち込み地山の保持力を活用する(ちゃんと地質調査しないとなんともいえないけど月ではこっちのほうがいいかも)とかの現代的な工法であればその過程は必要無い訳で、トンネル内面に巻き立てを行なって構造をつくる在来工法が想定されていることが伺えます。

こうした描写の古さは執筆時期と青函トンネルの工事がモデルになっていることなどからしょうがないのですが、「ハード SF ファン」を自称してる人達がここに突っ込んでないのどうなってんだ糞が。

なんか話があんままとまってませんがこういうことです。

技術の取得がノーコストという時点であきらかに破綻していると思うし、それを「話の都合上そんなもんでしょ」とスルーできるなら技術に対してそれくらいの考えしか持ってない人なんだなと思うということです。

— つつみともよ (@ssig33) December 4, 2013

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