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得票率と議席数が一致してないのはおかしい

という主張を最近インターネットでよく見るようになりました。民主党の大勝 -> 自民党の大勝 の流れで実のところ民主党も自民党も得票率が大して変わってなかったことに気付いて「これはおかしい」と思った人とか単に自民党が気に入らない人とかいろいろいるようです。

ところでベルギーの話をします。ベルギーは元老院と代議院の二院制の国会を持つ国です。元老院は条約問題と王室の問題についてのみ代議院と同等の権限を持ち、事実上殆どの議題について代議院の議決が優越します。民政に限って考えれば一院制と言って過言ではない議会制度を持ちます。

そしてその代議院は比例代表制のみで選挙が行なわれます。つまりベルギーにおいて民政については最新の「国民の声」が反映されるということになります。

そのベルギーですが、 2010 年の選挙後の政治空白については記憶に新しいことと思います。得票率が議席数と直結する政治制度であること、二つの言語圏が存在し政治的な対立がそもそも成り立ちやすい構造であることなどが原因となって連立交渉は困難を極め、結局ベルギーでは 1 年半に渡って正式な首相が存在しないという事態に陥りました。

そして今最終的にベルギーの首相を務める人物は総選挙で第二党の党首だった人物です。これはこれで「民意を反映している」とは言い難い状態なのではないかと思います。

ベルギーの状況を先の日本の衆院選の結果に当て嵌めると、連立交渉に 1 年半かけて 2014 年 5 月に新しい内閣が出来たはいいが総理大臣は石原慎太郎という話になります。正直に言って「得票率と議席数を一致させるべき!!!」と主張している人達が石原慎太郎総理大臣を望んでいるとはとても思えないというのが僕の印象です。

まあベルギーの話はかなり極端な事例でそれをそのまま日本に当て嵌めるというのはファンタジーでしかないです。ですがそもそも「統一された民意」とか「完全な選挙制度」とかいうのが存在しているというのもファンタジーでしかないわけで、それを騙し騙しなんとかやっていくしかないわけです。そういうふうに考えた時に現状の日本の選挙制度がそこまで悪いものだとは僕は思いません。一票の格差などはあれはあれで問題ですが、一票の格差の是正が憲法などで義務づけられた結果選挙区割りが極めて頻繁になってゲリマンダーの温床になってるなんていう国だっていくらでもあるわけです。

選挙に限らず、あるいは政治に限らず、問題は大抵極めて複雑でそれを簡単に語り簡単な解決策を用いるのは大抵破滅を招きます。かといって「複雑で難しいから〜」などといって何もしないのも問題なので程度問題ということにはなりますが。

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