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アーサー物語 / 2009-06-02

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2009-06-02 Tue

第 1 章 - 06

 斥候は、出さなかった。奴等は、俺達を、狙っている。
 第二隊からは、あまり離れないようにした。並足で、駆ける。
 斥候。ローマ軍のものではない。
 斥候を討つことはしない。向うから来るのは、願っていた事だ。
 周囲をうろつく斥候の数が増えた。
 「来るぞ、アーサー」
 馬蹄。土煙。嘶き。騎士の掛け声。左右から。
 疾駆。騎馬隊だけの、疾駆。アーサーと、ランスロット。並んで、駆ける。歩兵は残す。歩兵は、全てマーリンに任せる。
 マーリンは円陣を取っていた。挟撃。マーリンは、凌いでいた。長槍を、上手く使っている。
 反転。逆撃の姿勢。サクソンの軽騎兵は、素早くマーリンへの攻撃を中止し、離脱。
 二隊が合流する。八百騎。見事な動きだ。
 「ランスロット、挟撃だ」
 「おう」
 分かれる。並走。迂回。横から、八百騎の軽騎兵に突っ込む。
 軽騎兵は、四百ずつ二隊に分かれた。挟撃を回避する動き。
 ランスロットは、怯まなかった。アーサーは、怯んだ。
 アーサーは、動きを見るまで、動けなかった。八百騎は一つに纏まると、アーサーと馳せ違う形で離脱した。
 このまま離れるのか。反転。八百騎。アーサー目掛けて突っ込んできた。
 動きの中の陣形で、陣形を保てていない。それだけは見えた。
 横列を取る。斜めに突っ込む。サクソンの騎馬隊は、斜めの陣形に対して、どこから攻撃がくるのか、一瞬戸惑ったようだ。
 止めるだけなら、これでいい。ランスロットが動く。伝令のやりとりは無い。
 ランスロット、二百騎、縦列。アーサーは、二百騎を小さくまとめた。
 ランスロットの二百騎が、突っ込む。横撃。アロンダイトが、瞬時三人の騎士を切り倒すのが見えた。
 そのまま、八百騎を二つに断ち割った。
 アーサーは、自分の騎馬隊を、前に進めた。
 潰走。今度は、散って逃げるというのではない。本当の、潰走。三十騎程は、倒した。
 しかし、残った敵の一隊が、アーサーの横を塞ぐ動きに出た。アーサーは追撃を戸惑った。
 その隙を衝かれた。反転され、合流された。追う。サクソンの騎馬隊は、また、分かれた再び、四百ずつ、二隊。
 ランスロットの疾駆。分かれた二隊の間に飛び込もうとしている。
 二隊は、合流しようとした。一隊の動きが、乱れた。ランスロットの転進。乱れた方に、突撃。
 サクソンの二十騎程が、あっという間に打ち落された。
 もう一隊、四百騎が、迂回してランスロットの後背を衝こうとしている。アーサーはさらにその後ろを衝こうとした。
 ランスロットは素早く離脱した。サクソンは、二隊が合流し、再び八百騎になった。
 サクソンの騎馬隊は、そのまま駆け去った。
 アーサーは、追わなかった。ランスロットも、追わなかった。
 犠牲の報告を、ランスロットと並んでうけた。アーサーの隊は、三人。ランスロットの隊は五人失なっていた。軽傷者も何人かいたが、戦闘には支障が無さそうだ。マーリンの指揮した歩兵は、一兵も失しなっていなかった。
 「やるな、奴等」
 「すまない、ランスロット。俺がもう少しまともに動ければ」
 「いや、お前が全体的な動きを示したおかげで、俺は一番いい動きが出来た」
 「ふむ。そう思っておくことにしようか。奴等、手強いが、正面からなら、半分でも崩せるな」
 「いや、それは意表を衝けたときだけだろう。騎馬隊の動きについては俺の言うことを、信用しろ」
 「しかし、同数なら、我らの方が強いかな」
 「そうだな。同数なら、お前でも崩せる。要となるのは、歩兵の動きだという気がする」
 「もう一度、同じようなやり方でぶつかってみたいと思う。それで、また見えるという気がする」
 「俺はお前のやり方を支持しよう。だが、一つ言っておくことがある。アーサー、お前、やはり俺に命令を出すのを躊躇しているな。もっと厳しく俺を使うんだ。そうで無ければ、この戦勝てんぞ」
 「おい、俺の指揮がこんなものだと思うなよ。決戦ともなれば、存分にお前を引き回してやる」
 「覚悟して待つとしよう。それで、次の動きはどうする?」
 「隙を見せて、奇襲を誘う」

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最終更新時間: 2009-06-11 15:06