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アーサー物語 / 2009-06-01

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2009-06-01 Mon

第 1 章 - 05

 ランスロットと合流するのは、一苦労だった。
 大体の被害状況を掴むのは、それ程難しくなかった。しかし、その動きを、捕捉された。
 三回、攻撃を受けた。四百騎での攻撃を二回、八百騎での攻撃を、一回。
 四百は、歩兵で受け、騎兵で横を塞ぐやりかたで、退かせることが出来た。というより、それで退く程、優秀な騎馬隊だった。
 それが八百ともなると、逃げまくるしかなかった。第二隊とランスロットの場所を予測して、とにかく逃げた。
 ランスロットは八百騎に追われている自分を見ると、一直線に突っ込んできた。騎馬隊だけで、二百騎だった。アーサーの隊と馳せ違うと、そのまま追ってくるサクソンの軽騎兵に、突っ込んだ。
 先頭がアーサーも反転し、ランスロットを後押しする形で逆撃をかけた。それで、八百騎を潰走させた。二倍の兵力差はあるが、こちらは重騎兵だ。ただ、潰走したと言ってもまとまった攻撃を受けないように、散って逃げたという感じだった。
 追撃はせず、第二隊への攻撃を哨戒した。それ以上の攻撃は無かった。潰走した八百騎への援護も、無かった。
 「まず、軽騎兵は、八百騎と見ていいかな」
 「俺は、今の戦いしか見ていない。伝令所などを見てきたお前の判断に任せよう」
 「結論から言う。四百が二隊で、八百」
 「そうか、俺が見たのが、全部か。確かに、潰走しても、こちらに隙が出来ても、新手は出てこなかった」
 「それから、伝令所や補給拠点は、火矢で攻撃を受けていた」
 「しかし、弓すら持っていなかったな」
 「ここまで深く侵攻してしまうと、矢の補給は、難しいだろう。矢が尽きた時点で、弓も捨てたのだろう」
 「ならば、兵糧や秣もあまり携行していないか」
 「それはどうかな。俺達は、重騎兵だから、兵糧はせいぜい二日分だ。しかし、やつらは甲冑をつけていないだけ、兵糧を多く持てる。干し肉なら、五日分は持てる。秣は、草を食ませればいい」
 「ふむ。いずれにせよ、奴等は俺達のことを重要な敵と認識しただろう。あとは、本隊から引き離しつつ、戦えばいい」
 「ただ、敵も余り深く侵入しようとはしないだろう。上手く引き回す必要があるな」
 「アーサー、一つ言っておく必要のあることがある」
 「なんだ、改まって」
 「俺を指揮下にいれろ」
 「何を言う。騎馬隊の指揮では、俺はお前に勝てん」
 「この前の騎馬隊の調練では、俺を打ち負かしただろう」
 「あれは、詐術に過ぎん」
 「しかし、そういう詐術は俺には出来ないな。戦場全体を見るには、そういう詐術が必要だろう。軽騎兵は、敵の戦略の要だ。これと戦うのは、戦場全てを見るということだ。それにはお前の方が向いている」
 「そうか。では存分に引き回させてもらうぞ。それでいいんだな」
 「ああ、やってくれ」
 「俺の指揮は、残酷だぞ」
 「心配するな。俺は、強い。目の前の敵が相手ならばな」
 「俺は、お前が負けないということを前提に戦を組み立てる。絶対に負けるなよ、ランスロット」
 「どんな戦でも、俺に勝てるのは、お前だけだろう」
 「傲慢な言いようだな」
 「そういうもんさ。アロンダイトを振う俺は、決して死なん」
 「アロンダイトか。いつ見てもいい剣だ」
 「しかし、アロンダイトは一本しか無いし、俺も一人だ。見ていられるのも騎馬隊だけだ。そして、俺という剣を使うのは、お前だ。お前に、俺を使ってもらいたいと思う」
 「ランスロットが我が剣か。負ける気がしないな」
 「俺を剣として使う以上、お前も負けることは許されん」
 「俺達は、二人で一人ということだ。その一人が、負けることなど考えられるか。では、行くぞ。我が剣」
 同時に馬に乗る。駆け出す。四百の騎士と、六百の歩兵が、一斉に駆け出す。
 アーサーは、血が燃え滾るのを感じた。
 ランスロットの血も、燃え滾っているだろう。

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最終更新時間: 2009-06-11 15:06